備忘録

日々の出来事やその日に仕入れた情報をお届けします


Saturday, September 28, 2002

 早いもので、前回に備忘録を更新してから1ヶ月が過ぎてしまいました。何度も何度も覗いてみては、更新されていないことにがっくりされた皆さんにおわび申し上げます。

 更新をさぼっている間にすっかり季節は移り変わり、今では東京もすっかり秋の装いとなりました。扇風機一つであんなに暑かった我がアパートの部屋も、今度は暖房の心配をすることに。はあ、忙しいことです。

 さてさて、日本のプロ野球はセ・パ両リーグとも優勝チームが決まり、来月半ばに始まる日本シリーズまではなんとも緊張感のないゲームが続きます。一方のアメリカ・メジャーリーグ。我がひいきチームのボストン・レッドソックスも、ヤンキースに5年連続の地区優勝をさらわれ、さらにはワイルドカードでのプレーオフ進出も阻まれ、こちらもまた寂しいシーズンオフを迎えることになりました。

 ということで、最近の僕の関心事はもうすっかりアメリカンフットボールNFLです。昨年の劇的なスーパーボールチャンピオン誕生となったペイトリオッツの雄姿はまだ記憶に新しいところですが、9月に入ってシーズンが始まったこの3試合で、今年も大方の容赦ない低い評価を覆して3連勝スタート。ライバルのセントルイス・ラムズの3連敗とは好対照に、今年も「チームワーク」を合言葉に頑張ってますね。(「チームワーク」については2002年2月4日の備忘録を参照してください)

 ところで、NFLに関しては今月に入ってすぐに大きな話題がありました。現在のアメリカでのNFLの熱狂を作り出したとも言える伝説のQBプレイヤー、ジョニー・ユナイタスが心臓発作により69歳で亡くなったのです。彼は1955年からの18年にわたるキャリアの中で、実に22個のNFL記録を作ったという人。1956年から1960年にかけて47試合連続でタッチダウンパスを決めた記録は、いまだに誰にも破られていない大記録です。

 ユナイタスは今ではボルティモア・コルツ(ちなみに、1984年に移転して後、現在はインディアナポリス・コルツとして知られていますが、そもそも「コルツ(2歳以下の牡馬)」という名前は、ボルティモアが競馬の盛んな町だったことに由来しています)の伝説のQBとして語られるのですが、最初に入団したチームはピッツバーグ・スティーラーズでした。しかも、シーズン前のキャンプで戦力外を通告され、その後建設現場でくい打ち機を操作しながら1試合6ドルの報酬でセミプロチームのプレーしていたそうです。

 ある時、そんな彼の情報がコルツにもたらされました。「すごい選手がいるからチャンスを与えてやってくれ」というファンからの手紙でした。この手紙はすぐに現実のものとなり、彼はコルツのバックアップQBとなりました。彼を泥沼からすくったこの手紙。実は差出人は、ユナイタス本人だったそうです。

 翌年の4戦目で回ってきたデビュー戦は、とてもその後の栄光を予感させるものではありませんでした。初めてのパスはインターセプトされた上にそのままリターンされてタッチダウンを許し、その後はボールが手に付かずファンブルの連続。とてもその後のチャンスは回ってきそうにないその状況で、しかし、その翌週のゲームのスターターに指名されたのはユナイタスでした。もう一人のQBがロースクール(法学大学院)への進学を決心し、窮余の策の中で任された大役でした。

 ところが、ユナイタスの伝説はここから始まります。当時無敵を誇っていたパッカーズを破ると、次の試合ではブラウンズにも勝ち、ユナイタスはその後試合をベンチから眺めることはありませんでした。

 彼のプレースタイルは、相手のディフェンスの弱点をすぐさま見抜き、そこを徹底的に攻めるというもの。その作戦を披露する時、オフェンスの選手たちは「神様とハドルにいるような気持ちになる」と語ったと言われています。しかし、そんなワンマンのプレースタイルは時としてうぬぼれているとも見られがち。それに対して彼はうぬぼれと自信の違いをこう説明していました。

 「自信とうぬぼれとは全く違う。私にとっては、うぬぼれとは自分をひけらかすことであり、自信とは自分にはそれができると信じることだ。」

 自分に自信を持っていたからこそ、ファンになりすまして自分を売り込んでみたり、大きな失敗の後でも臆せず、逆に大きな仕事をしてしまえるのだと思います。自分が自信を持てる何かを見つけて、「これはうぬぼれではなく自信だ」と語ってみたいものです。ジョニー・ユナイタスの冥福を祈ります。



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