備忘録

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Sunday, October 31, 2004

「バンビーノの呪い」がついに解かれた。メジャーリーグのボストン・レッドソックスが、田口選手の所属するセントルイス・カージナルスを見事に4タテで破っての世界一に。凱旋パレードには、今年初めにやはりチャンピオンとなったアメフトのニューイングランド・ペイトリオッツの時の150万人を大きく上回る、320万人ものファンが繰り出して盛大に祝ったそうだ(ちなみに、ボストン市の人口は57万人)。ああ、その場に居たかったなあ。

なんと言っても、この歴史的な瞬間を作り上げた立役者は、昨年はスキンヘッドで駄目だったから今年は長髪だあと、野武士集団の装いそのままに、「idiots(愚か者達)」と自分たちを揶揄しながらも信じられないほどの粘り腰でプレーした選手達であることは疑いもないけれど、そうした選手の力を余すことなく発揮させる雰囲気を作り上げたスタッフの力も称賛に値するだろうと思う。それは、選手の誰もが、決してお世辞とは思われないほど心底から、チームドクターやトレーナーに対して惜しみなく感謝の気持ちを述べていることからもうかがい知れよう。

そして、この歴史的な集団を作り上げた功労者は、なんといっても、2年前に28歳で史上最年少GM(全てのチームメンバーの決定権を持つ責任者)となったエプスタインだろう。地元出身で、自身の熱い思いもさることながら、冷静に戦力を分析する眼力たるや。過去の名だたる名監督も及ばないほどの成績を就任以来の2年間で残しながら、ここ一番でのチームの爆発力を引き出す手法に疑問を抱くや、あっさりと前監督を更迭し、監督としての実績はこれまで高く評価されていなかったフランコーナ監督を新たに抜擢。優勝を狙える選手を集めた上で、これだけの個性派集団をまとめ上げる力量を持った唯一の人物として、人柄を重視してフランコーナ監督を探し出してくるところに、そのGMとしてのすごさがある。フランコーナ監督の監督としての能力の高さもまた、ヤンキースとの第4戦以来8連勝で頂点に立ったことや、第5戦の8回で同点に追いついて以来一度も相手にリードされることなく勝ち切っている完勝ぶりに見て取れると思う。

日本のプロ野球では、来期からの参入を目指して2つのチームが名乗りを挙げているけれども、いずれのチームも実際の選手の顔ぶれも分からないうちから監督を決め、「このスタッフで優勝を目指します」と豪語している。エプスタインGMの仕事ぶりを目の当たりにすれば、これがいかに根拠の無い自信であるかが分かろうと言うもの。試合を戦うのはあくまでも選手であり、それを指揮する監督自身ではないのだから。

いずれにしても、今年はペイトリオッツ(今シーズンに入っても負け知らずの6連勝中)とレッドソックスの優勝という思いもかけないプレゼントをもらったし、新天地での新たなスタートを切ることになったし、かなり思い出に残る年になりそうだ。



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