備忘録・2000年7月

日々の出来事やその日に仕入れた情報をお届けします

Monday, July 31, 2000
 アメリカンフットボール(NFL)の2000年のシーズンがいよいよ開幕。といっても、レギュラーシーズンは9月3日が開幕日で、今日始まったのは野球のオープン戦にあたるプレシーズンゲーム。

 残念ながら、僕が家に辿り着いたときにはとうの昔に試合は終わっていて、生で今シーズンのアメフト初めとはいかなかったのだが。しかし、ペイトリオッツはBill Belichick新ヘッドコーチの初戦を飾る20対0での完勝と、幸先よいスタートににんまり。

 もっとも、新しいアパートの場所が悪いのか、アメフトを中継するテレビ局の電波を我がテレビの室内アンテナで受信するのは難しいようで、砂嵐の中に人がうごめくのを観察しているような状況。いずれにしても、生では見れなそうだ。

 ん〜、ケーブルテレビにでも加入するかなあ。アメフト見るために。


Sunday, July 30, 2000
 ボストンに住んでいて「連句つれづれ」に参加しているメンバーとその仲間たちが集まって、ボストン西方のNeedhamにある「ボストンのママ」さん宅にてBBQが行われた。

 今日はあいにくの「雨」となってしまったのだが、あらかじめ予定されていたBBQ前の軽い運動、Wellesley湖畔一周を、有志5人で決行。2マイル(3.2km)ほどの湖の周囲の遊歩道を、雨にせき立てられるように散策した。結局わずか35分ほどで一周してしまって、なかなかの「軽い運動」となったが、小雨降る中に浮かび上がる湖畔の景色は二重丸。晴れた日には、もう一つ丸が重なることだろう。

 さて、BBQは子供を含めて総勢17人で堪能。といっても、外はあいにく雨が降り続いていたため、「食べ物焼き係」だけを外に残しての室内での団欒と相成った。定番の肉や野菜は言うに及ばず、御手製の料理や新鮮なカジキに舌鼓を打ちつつ、しっかりとアイスクリーム(これも御手製)とケーキにも食指を動かして、はあ、よく食べた。もちろん、英語と日本語が入り乱れる中のほのぼのとした雰囲気も、何とも心地よいものである。

 というわけで、身にも心にも栄養補給して、明日からまた頑張るか。

【今日の科学情報】
 マイナスの電子に対するプラス電荷の陽電子のように、全ての粒子には反粒子があるはずだが、現実には反粒子はほとんど見つかっておらず、「宇宙から反粒子が消えたのはなぜか」というのは、物理学の大きな謎とされてきた。それに対する答えとなると考えられる「反粒子は粒子に比べて崩壊しやすい(約1000億分の1秒)」という実験結果を、文部省高エネルギー加速器研究機構とスタンフォード大のそれぞれの国際チームが同じ学会で同時に発表した。両チームともまだデータ取得の中間段階で、日本のチームが多少リードしていると伝えられている。いずれにしても、もしこれが証明されれば、反粒子消滅の基礎となる理論を提唱した日本人二人(小林、益川両教授)のノーベル賞受賞は、ほぼ確実と言われている。


Saturday, July 29, 2000
 今年で4年目のシーズンを送っているアメリカのメジャーリーグサッカーだが、今日はオールスター戦ということでちょっと一休み。普段のリーグ戦は、東・中・西地区と分かれてそれぞれの順位を争っているが、今日はチームが属する州によってEASTとWESTに分かれての試合が行われた。

 結果は、昨年の借りを返す形でEASTが勝利をおさめたのだが、後半だけで6点を取るという荒れ模様。最終結果は、9対4というおよそ得点だけ見ればサッカーの試合とは思えないスコアだった。

 ん〜、去年も6対4という試合だったしなあ。まあ、お祭りっぽくていいけれど。

【今日の科学情報】
今週の「TIME」誌の表紙にもなっている特集記事は、遺伝子組換え作物に関する話題。「このコメは年間100万人の子供たちを救える可能性を秘めている・・・がしかし、世間はまだそれを許してはくれない(This rice could save a million kids a year . . . but protesters believe such genetically modified foods are bad for us and our planet. Here's why.)」というくだりが、印象的だった。


Friday, July 28, 2000
 MITの化学科には、現在14人の日本人が在籍している。そのほとんどの方々が、日本の大学や企業からの派遣で来られているので、1年とか2年の滞在の後日本へと戻っていくため、かなりこの人数は流動的である。

 今日は8月末で日本に戻られる3人の方の送別会があった。ちなみに、前回4月にあった送別会以来、新たに3人が加わっている。

 会場は、MITからほど近い場所にあるタイ料理屋。日本人会に参加するドイツ人一人を含む12人が集まって、まるで日本に居るかのような雰囲気の中、わいわいがやがやと楽しい時が過ぎた。

 それにしても、1年という時間のなんと早いことか。今回日本に戻られる3人の方は、それぞれ昨年の今ごろにここボストンに渡ってきたのだけれど、なんだか「こんにちは」と挨拶したのが昨日のことのように思えて仕方がない。まあ、時間が長く感じられるときは、決まって辛いことや苦しいことの多いときだから、これはそれで良しということにしておこうか。年を取るとあっと言う間に時間が過ぎていく、というのは・・・知らないなあ。


Thursday, July 27, 2000
 19歳になったベトナムのグエン・ドク君が、義足の製作技術を学ぶため8月17日に日本を訪れて、約2週間滞在するそうだ。1991年以来ドク君の成長に合わせて義足を作り、ベトナムに行って歩行指導や義足の調整をしてきた方が、ドク君の希望を伝え聞いて、募金を集めて実現したとか。

 ドク君は1981年2月に、兄のベト君と下半身がつながったまま生まれ、日本のテレビ局が取材したことで世界中から注目された。1988年10月には分離手術に成功し、ドク君は義足を着けて学校に通えるようになっているが、ベト君は依然重い脳の障害で寝たきり。

 ベト君のためにも、ドク君には自分の信じた道を思う存分突き進んで欲しいと思う。そして、日本という国が、世界中のそんな希望に胸膨らませている若者への協力を惜しまない国であって欲しいと思う。

 先日セミナーに参加して、カエルを使った実験で、発生の(受精卵から細胞分裂を始めてオタマジャクシへと成長していく)初期の段階のたった一つの遺伝子の発現を抑えることで、頭が二つあるオタマジャクシが出現するという発表を聞いたのだが、このとき頭に浮かんだのはまさにベト・ドク兄弟のこと。

 様々な基礎研究が、難病と言われる病気を含めて、無抵抗に被害を被ってしまった人たちに、いつの日か本当の笑顔をもたらすことを願う今日このごろ。

【今日の科学情報】
FringeはNotchを修飾する糖転移酵素である
Nature (27 July 2000) Vol.406, 369
Fringeの糖転移酵素活性がNotch-Delta間相互作用を調整する
Nature (27 July 2000) Vol.406, 411


Wednesday, July 26, 2000
 今日のボストンは、しとしとと雨の降る日本の梅雨を思わせる天気の一日だった。

 そんな中、実験の合間をぬって資料探しのために医学部図書館に。これまでは学術雑誌にばかり用があったので、地下2階から地上2階までの部屋しか利用したことが無かったのだが、今日は実験書を探していることもあって初めて3階の部屋に足を踏み入れた。ちなみに、医学部図書館は地下2階から地上5階まである。

 中に入って辺りを見回すと、どうやら分野別に本が整頓されているらしいのだが、「心臓関連」といった看板があるわけでもないので、目的の本がどこにあるのだかさっぱり見当がつかない。しばし、プラプラと歩き回ってみたが、時間の無駄であることは明らか。まあ、至るところに設置されているコンピューターで検索すれば良いことはすぐに分かったのだが、データベースらしき画面が見つからず、あれでもないこれでもないと20分ほど画面中をクリックし尽くして、ようやくデータベースを見つけた。

 ここまでくればあとは簡単で、目的の本を検索してありかを探し出して本を取りに向かって本を取り出・・・そうとしたら本が無い。どうやら誰かが借りている最中らしい。しかたなく、もう一度コンピューターのところに戻って再び検索。別の本を探し出して指示された場所に行ってみると・・・またまた無い。とぼとぼとコンピューターのところに戻り、さらに検索。また本が無かったら、今日の「備忘録」のネタだなこりゃ、なぞと思いながらその書架の前に立ってみると・・・こうしてこの欄にて報告している次第である。

 しばし呆然とする感覚を十分に味わった後、もう一度検索する気力も無くして研究室に戻った。しばらくしてふと思い立ち、研究室のコンピューターからインターネットを介して図書館にアクセスすると、くだんのデータベースが現れ、気を取り直して検索。出てきた結果のページをじっと見つめていると、「現在の状況」なる欄がある。そこをクリックすると・・・貸し出し中、と出た。

 なんと、いちいち本棚の前まで行かなくても本があるか無いかが、一目りょう然に分かってしまうじゃないか。しかも、よくよく考えてみれば、図書館に行かなくても、探している本が貸し出し中であることが分かる・・・。はあ、なんとも便利な世の中なのであります。


Tuesday, July 25, 2000
 「Tall Ships 2000ボストン〜ハリファックスレース」で、日本の「海王丸」が見事クラスA優勝ならびに総合優勝をおさめた、とのこと。

 また、同じく日本から参加の「あこがれ」は、総合30隻中(悪天候のため58隻中28隻がリタイア)15位、また最も長い距離を最も少ない寄港地でハリファックスに到着したという賞「ISTA Seamanship Prize from the Honourable Company of Master Mariners」を獲得したそうだ。

 頑張ってる、がんばってる。負けずに頑張ろう。

追記・
 今日の地元新聞「Boston Globe」に、昨日今季初先発となった大家に対する監督の「まだまだ経験が必要だが、ホームランを打たれた後で崩れなかったのは、これからに期待がもてる」というコメントが掲載されていた。また「Boston Herald」には、他の選手たちが春のキャンプ以来となる大家のピッチングを見て、その変貌ぶりに驚いたという記事も。


Monday, July 24, 2000
 こちらでの給料の出所であるヒューマン・フロンティア(本部・フランス)へは、1年毎に当然ながら報告書を提出することになっているのだが、その報告書はもちろん研究計画に基づいた実験の報告をするものである。しかし、2年目を迎えて、幸か不幸か既に提出している計画を若干軌道修正しなければならなくなったので、最近は研究計画の変更を求める書類を作成するというのがもっぱらの帰宅してからの仕事だった。そして今日ようやく書類が完成し、ボスの署名を入れてもらって無事終了。フランスへ向けて郵送し終えて、ちょっと安心といったところ。まあ、本当に安心するのは、この書類の審査結果(審査会が開かれて、そこで認可が下りなければならない)を受け取ってからなのだが。

 ホッとしたこともあって、今日は今シーズン初めて、超満員のフェンウェイ球場で午後7時5分からの野球観戦と相成った。

 今日のレッドソックスの先発は、「Tomo Ohka」・・・元横浜ベイスターズの大家友和投手が、メジャー昇格後今季初先発の試合だった。完全試合投手として話題になっていることもあって、マイナー上がりとは思えぬ人気。しかし勝負の世界はやはり厳しく、結果は、5回0/3を投げて11安打1エラー(ファーストカバーで落球)無四死球という内容で4失点。残念ながら敗戦投手となってしまった。

 実際に観戦しての印象は、11安打という数字ほどには打ち込まれた感じではなく、不運なヒットもいくつかあったし、球速も150km/h(93mph)を何度も出していて、要所を締めていたように思う。まあ、次回に期待したい。

 メジャー昇格の知らせは、遠征先のホテルの部屋へ直接監督が出向いて知らせてくれたとのこと。なんでも、大家投手がずっとインターネットをしているものだから、電話がつながらなくて仕方なく監督のお出ましとなったそうだ。そんな彼のメジャー昇格後の不安とは、車で行きつけないフェンウェイ球場に、定刻までに到着できるかどうかということらしい。高校時代は遅刻常習犯だったらしく、遅刻しないことがもっかの目標だとか。

 そんな話を聞いていたら、なんだかメジャーリーガーが身近な存在に思えてきた。この普通さからして、これからの活躍は大いに期待できそうな気がする。頑張れ、トモ!

【今日の科学情報】
東レ、イヌIFNγをアトピー性皮膚炎対象に臨床試験開始


Sunday, July 23, 2000
 新しいアパートにはそれほど不満もないのだが、唯一ランドリーが遠いことだけにはちょっと閉口している。

 たいていのアパートでは、地下に乾燥機付きの洗濯場があるようだけれども、築年数が古い我がアパートにはそのような施設は無く、近くのコインランドリーに出かけている。

 この「近く」がくせもので、一番近い場所でもアパートから4ブロックも離れている。時間にして歩いて10分ほどかかる。洗濯している間アパートに戻ってくるのもままならないので、最近はもっぱら、待ち時間には近くのコンビニで朝食を買って、Commonwelth通り(中央分離帯が遊歩道になっていて、仙台の定禅寺通りのような雰囲気)の中央に設けられたベンチで朝食を取りながら本を読む、という日曜のスタイルが定着している。おかげで、最近はコンビニのおばちゃんにどうやら顔を覚えられたらしく、親しげに話しかけられるようになってしまった。

 しかしまあ、夏の間はこのスタイルも続くだろうが、果たして冬になったらどうしたものか。洗濯板でも探してみようかなあ。


Saturday, July 22, 2000
 残念な話題・・・高校野球の福島県大会、準々決勝で我が母校は7対9で敗退。甲子園はまた夢と消えた。

 嬉しい話題・・・レッドソックスの大家がついにメジャーに昇格。さっそく昨日4番手として8回裏2アウト1、2塁から登板し、直後にヒットを浴びて得点されるも自責点0。結局敗戦ではあったが最終回も投げ、ゲームを締めた。

【今日の科学情報】
物質を構成する基本粒子で3種類あるニュートリノのうち、唯一存在が確認されていなかった「タウ・ニュートリノ」が、日米欧の国際共同研究グループによって直接確認された。
物質を構成する基本粒子には、6種類のクォークと6種類のレプトンがあり、ニュートリノはこのレプトンに含まれる。タウ・ニュートリノ以外は、すべて実験で確認されていた。
3種類すべてのニュートリノが確認されたことで、次のターゲットは、あると言われながらいまだ確認されていないニュートリノの質量の確定となる。


Friday, July 21, 2000
 月刊誌「SCIENTIFIC AMERICAN」の今月号(8月号)の人物特集は、日本人の"Shuji Nakamura"さん(原文が英語なので漢字表記は残念ながら不明)。徳島・阿南市の日亜化学工業の社員として、世界で初めて青色の発光ダイオード(LED)や紫色半導体レーザーを発明した人として紹介されている。

 Nakamuraさんは、四国にある企業という理由でこの会社に就職し、1980年代初頭の当時、サンヨー、シャープ、東芝など名だたる大企業が開発に凌ぎを削っていたこの分野に敢然と挑戦。しかし、6年に亘る研究の成果が上がらなかったことで、一度は上司から「無駄な努力」とギブアップ宣告をされたそうだが、あきらめきれずに、なんと社長に直訴して3億円の予算と技術修得のための海外留学を申し出たそうだ。

 特筆すべきはこのときの社長の決断。世界中から注目される現在の日亜化学の磐石たる礎となったのは、社長・小川英治さんがこのときこの申し出を全面的に認めた事だった。

 そしてNakamuraさんが日本に帰国して後10年間で成果を次々に出し、それまで赤、橙、黄、黄緑しかなかったLEDに、青色と純緑色、そして3原色がそろったことで白色を追加することになった。また同時に発明された紫色半導体レーザーによって、DVDやCDの記憶容量が4倍に飛躍する結果となり、現在の技術を支えている。

 その後Nakamuraさんは、17ものアメリカの企業からの誘いがあったそうだが、現在カリフォルニア大学サンタバーバラ校に勤務し、ベンチャー企業を設立してアメリカンドリームを実現させることに夢を馳せているとのこと。

 読んでいてこちらも元気が湧いてくる話だったので、ちょっと紹介。ちなみに、「SCIENTIFIC AMERICAN」は「日系サイエンス」として日本語でも出版されていて、一部の記事は1〜3カ月遅れで翻訳され掲載されている(半分ほどは日本独自の記事)。また、この記事はウェブでも公開されているが、「日経サイエンス」には人物特集の翻訳ページはないのが残念。


Thursday, July 20, 2000
 今日発行された「ネイチャー」誌に、この世に光速より速いものはないという常識を覆す結果を示す論文が掲載された。

 これは、アメリカ・ニュージャージー州のNEC北米研究所で行われた実験で、光のパルスが光速の300倍以上の速さで伝わった様子を観察したもの。

 世界で最も権威のある雑誌の一つである「ネイチャー」は、ときどきセンセーショナルな話題を提供する雑誌として知られているが、ごくまれに後に訂正されるような論文が掲載されることも事実。この論文も、誰かが追試に成功するまでは、まだまだ半信半疑といったところか。

 アインシュタインの相対性理論は、質量があるものに対してのみ適用される理論であるから、この結果が本当だとしても相対性理論を否定することにまではならないので、物理の世界を揺るがすことにまではならないかもしれないが、これぞ科学の醍醐味、という実験かもしれない。

【今日の科学情報】
L. J. Wang, et al. (20 July 2000) Nature, Vol. 406, 277


Wednesday, July 19, 2000
 MITの研究室対抗バレーボールで、我がラボはいよいよ主力が復帰し、きょうの試合は15-10、15-10のストレートで完勝した。

 我らが主力とは、何を隠そう205cmの長身を誇るボスと、これまた190cmの長身で運動神経抜群の大学院生。今日は、久しぶりとあって試運転気味だったけれど、もうそれで十分。

【今日の科学情報】
ヒト病原体のカンジダ菌は、これまで有性生殖が存在しないと考えられてきた。しかし、今週号の「サイエンス」誌に、カンジダ菌が有性的に交配することを示す論文が2つ報告された。日本で酵母の研究をしていたときの疑問が一つ解決して、ちょっとすっきりした気分。
Science (14 July 2000) Vol.289, 307
Science (14 July 2000) Vol.289, 310


Tuesday, July 18, 2000
 火曜日はMITラボでのミーティングの日。今日も午後7時からいつものように行われた。

 発表者は毎回2名で、実験報告とトピック紹介が行われる。今日は、ポスドクのレクチャーの後、1月からラボに参加している大学院生のうちの一人の初めての実験報告があり、実に午後9時半まで熱い議論が繰り広げられた。

 これがまた何とも刺激的な発表で、本当にまだ1年生かと疑うほど次から次にアイデアを披露し、とても実験を始めてまだ半年とは思えない内容。ことごとくそのアイデアを元にした実験がうまくいっていなかったのはご愛敬だが、ボスを相手にしての議論にもひるむことのない姿には、ちょっと感動すら覚えた。

 有機合成という分野のラボではこれが当たり前なのかどうかは分からないが、全くおそれいってしまった。しかし、ぽかんと口を開けているばかりではしょうがない。口ではまだちょっと分が悪いにしても、内容でどうにか対抗できるように、精進、精進。

【今日の科学情報】
PMLは癌遺伝子Rasによって誘導されるp53のアセチル化と早期の老化を制御する
Pearson M. et al. (13 July 2000) Nature, Vol. 406, 207


Monday, July 17, 2000
 メジャーリーグのアメリカン・リーグ東地区に属するボストン・レッドソックスは、現在3位。それでも、1位のニューヨーク・ヤンキースとはわずか1.5ゲーム差だから、まだまだ長いシーズンを考えれば、そう慌てふためくこともない。

 が、何とも厳しい試合運びを強いられている昨今の状況からか、あるテレビ局が視聴者にアンケートを実施した。

「この状況を打破するためには、球団はどうすべきだと思うか」

 寄せられた回答を集計した結果、「マイナーリーグから調子の良い選手をどんどん登用する」という2位の意見を抑えて、実に58%という高い回答率となったのは、なんと「日本から選手を探してくる」という意見。

 いまや「助っ人」としてアメリカ人の目に映る日本のプロ野球選手。今年は、マリナーズの佐々木投手(21セーブ@ア・リーグ3位)や、ロイヤルズの鈴木投手(防御率ア・リーグ3位)の活躍が目立っている。ボストンの大家も早くメジャーに上がってこないかなあ。


Sunday, July 16, 2000
 日本人が英語の聞き取りに苦労するのは、発話の周波数が欧米人と異なるからだそうだ。

 日本語の発話が1000Hz前後で行われるのに対して、英語の発話は3000Hz前後。特に、この1000〜3000Hzにまたがる音の成分が、"l"と"r"の差で、"r"は発音開始から約0.1秒で1200Hzあたりから2500Hzまでしりあがりになるのに対し、"l"は3000Hzから2500Hzまでずっと下がるのだそうだ。

 これは「ホルトマン遷移」と呼ばれるものだが、一般的に日本人はこの違いを的確に区別できないらしい。

 耳を周波数に馴らせる方策として、「モーツァルト」を聞くのが良いという。なんでも、弦楽器のパートが3000Hzだからだというが、それだったらなにもモーツァルトでなくても良さそうなものだが・・・。

 というものの、信じるものは救われる・・・はず。最近のくつろぎの時間のBGMは、もっぱら「モーツァルト」を聞いているという、なんとも純朴な我が心。1年もアメリカに居るのに、まだ耳が馴れないのかという意見には、どうにも反論できない自分が情けなくもあるが。

【今日の科学情報】
三井農林が、米国NCIのガン予防フェーズII向けに茶カテキンを供給。


Saturday, July 15, 2000
 二人のボスが共に参加していた、ゴードン会議の「プロテオグリカン」部会の6日間の日程が終了し、ボスがラボに戻ってきた。

 この会議は、部会毎に少人数の参加者を集めて2年おきに開かれているもので、日中の予定は全く組まれておらず、自由に研究テーマの議論をすることが出来るのが特徴の、権威ある学会。まあ、若い研究者は日中には会議ならぬ「テニス」で親交を深めていたりすることもあるとか。

 ハーバードのボスは、普段から精力的に動きまわっているので体力には自信があると思うのだが、なんだか見るからに疲労困憊という状態である。ボスの留守の期間中に得られたデータは、電子メールで逐一報告していたのだが、忙しくて返事が出せなかった、と言うほど過密日程をこなしてきたようだ。

 おかげで、最新の情報をたんまりと仕入れてきたらしく、顔を合わせるや次々とアイデアを提案してきた。こちらも気になる点を少し聞いてみたら「ちょっと待て、頭の片隅に確かしまってきたのだけれど、奥の方に入れてしまったので、すぐには取り出せないから・・・」とのこと。ちょっと欲張りすぎたのかもしれない。

 午後にはボストン港に停泊している帆船を見に行ってきた。港は、いたるところすごい人、人また人。新聞の発表では、200万人の観光客を集めたとか。

 日本からは、先日紹介した「あこがれ」以外に、東京から「海王丸」(右写真)が参加していた。こちらは世界最大規模の帆船で、その姿はまさに「美しい」のひとこと。150人のクルーが一緒に航海をしているという帆船に、さっそく乗船させてもらって満悦。

 いよいよ明日からまたレースが始まるとのこと。


Friday, July 14, 2000
 いよいよ甲子園を目指しての夏の高校野球・福島県大会が始まり、第2シードの我が母校「安積(あさか)高校」は無事に初戦をコールドで勝利したそうだ。

 今後の組み合わせを見ると、強豪と呼ばれる高校はなぜかもう一つの山に集中しているので、決勝戦まではなんだかすんなりいきそうである。問題は決勝戦で対戦する相手。

 もし第1シードの福島商業が相手となると、1981年に進出した決勝で対戦し、そして惜敗した過去があるのでちと縁起が悪い。

 福島商業に立ちはだかる並み居る強豪の中で、最大の難敵となるであろうと予想されるのは、ノーシードの日大東北。今年は秋・春とも勝負運に恵まれずノーシードとのことだが、過去のデータからしてノーシードの日大東北は強いのだ。

 というわけで、決勝戦はずばり「安積-日大東北」との大胆予想を立ててみた。もちろん、この組み合わせならこちらに分がある(と勝手に思い込んでいるのだが)。

 いずれにしても、野球部創部110周年と、そして男子校としての最後の年(福島県の男女別学制度にもついに終止符が打たれるらしい)に、是非とも花を添えて欲しいと、遠くボストンから何ともローカルなことを思っている。

追記・
 野球の話題ついでに・・・日本ではオリックスのイチロー選手が打率を4割7厘として話題となっているようだが、こちら大リーグでも今日4割打者が誕生した。ここボストンレッドソックスの4番ガルシアパーラー選手で、昨年の首位打者でもある。これでチームが3位というのが、どうにも納得のいかないことだが。


Thursday, July 13, 2000
 7月2日からボストン美術館で開催されている「Van Gogh: Face to Face」に足を運んだ。ゴッホのわずか10年足らずの画家生活の中で、彼自身が最も重きを置いた肖像画にスポットを当てた特別展である。

 この特別展は週末ともなるとすごいにぎわいで、30分ごとに区切られた予約券も順次売り切れているとのうわさを耳にしていた。そこで、木曜日の夜なら少しはすいているだろうと目論んで、1週間ほど前に今日の午後7時半からの予約券を手に入れていた次第(ちなみに、年間会員の特権はこのチケットがタダ!)。この美術館は、水曜日から金曜日までは午後9時45分まで開いているので、特別展だけなら午後7時半からでも十分に堪能できる。

 午後7時から3時間ほど実験を中断できるように、日中は何かとあわただしかったのだが、いざ会場に足を踏み入れるや、今日一日の忙しさもすぐに吹き飛んでしまった。入場者は、常設展の日曜ほどの入りだったが、それでも人をかき分けてみるほどではなかったので、十分に堪能できた。

 "What impassions me most - much, much more than all the rest of my metier - is the portrait, the modern portrait . . ." と、彼自身が死の1カ月前に妹への手紙の中で述べているように、肖像画にはひときわ思い入れもあったようで、「ひまわり」に代表される花々を描いた絵とは一味違って(ちなみに、「ひまわり」8連作のひとつを先日フィラデルフィア美術館で鑑賞)、描かれている人々の眼差しからその場の雰囲気が伝わってくる様が、なんともいえず心地よい。

 展示は、ゴッホが画家として暮らしたオランダとフランスのそれぞれの都市ごとに区切られていて、わずか8年の間に7つの地での暮らしを送る生き様と、彼の37年という短い生涯とが相まって、あらためてゴッホの絵の人気の秘密をかいま見た気がした。

 最後に掲示されていて、実は最も感動したのは、ゴッホの良き理解者で彼の絵のディーラーでもあった弟が、ゴッホの死後母親に当てた手紙(ちなみに、弟もそれからわずか半年後に病死し、33年の生涯を閉じている。二人の兄弟の墓は、ゴッホが最後に過ごした地に並んで立てられている)。
"One cannot write how grieved one is nor fined any comfort. It is a grief that will last and which I certainly shall never forget as long as I live; the only thing one might say is that he himself has the rest he was longing for . . . life was such a burden to him; but now, as often happens, everybody is full of praise for his talents . . . Oh Mother! He was my own, own brother"


July 12, 2000
 最近問い合わせが増えている「www.yabet.com」というサイトとこの「YABeT's Board」は、何の関係も無いのでお間違えなく。そのURLは、まさに2週間違いで僕より先に登録されてしまったもの。ちなみにこちらは「www.yabets.com」で、「s」入りの「やべっつ、どっと・こむ」である。

 あちらのサイトは、クレジットカード登録をすることによって会員登録し、様々なスポーツの勝利予想やカジノでお金を儲けようというところで、(ya)BETという名前はそういうことらしい。れっきとしたイギリスのベンチャー企業によって運営されている。どうやら、インターネットを利用したこの賭け事システムの「Yabet ・・・」という名前を商標登録したようである。もし僕が先に「www.yabet.com」を登録していたら、その会社から委譲依頼がきて今ごろ・・・、なんてことは考えない方が身のためだ。

 それよりも今度は、我がサイトが商標侵害かなんかで訴えられないことをただ祈るばかり。でも、こちらの方が「YABeT」の歴史は長いと思うし、こんな時のために「e」だけを小文字にしてあるので、なんとか大丈夫だろうけど。

【今日の科学情報】
上野動物園で8日に死亡したパンダの「トントン」の胸筋と乳腺の細胞が、将来のクローン技術を利用したパンダの繁殖を視野に入れ、東京都畜産試験場に凍結保存されたそうだ。日本に残るパンダはわずか2頭となって、こうした繁殖の問題が出てくるのも分からないでもないが、なんだかクローンパンダを動物園に見に行くことになるというのも、どんなもんなのだろう・・・。


July 11, 2000
 世界中の120余りの帆船がボストン港に一堂に会する「Sail Boston 2000」というイベントが今日から始まった。これは、今世紀最後の国際帆船レース「the Tall Ships 2000」の一環で、4月12日にイギリスのサウサンプトンを出発し、大西洋を巡回してオランダのアムステルダムまで約4カ月半に亘る航海を競うものだそうだ。ボストンはレースの中休み地点となっていて、今日は参加している全ての帆船のパレードがボストン港で行われていた。

 日本からは「あこがれ」という大阪市の所有する帆船が寄港している。この帆船は、日本の帆船としては初めてヨーロッパ経由の東回り世界一周航海「ワールドセイル2000」に出航しているもので、航海日数256日という長旅の途中だ。レース終了後のアムステルダムからは、インド洋を航海して一路大阪を目指すという。

 というわけで、ボストンでは日曜日まで帆船が停泊し、様々なイベントが繰り広げられるとのことなので、今度の週末はなかなか楽しみである。ちなみにhttp://www.sailboston.com/にて詳しい情報が得られる。

【今日の科学情報】
これまでウイルスの持つ遺伝子は、DNAだけかもしくはRNAだけだと考えられていたが、人に感染するHCMVというウイルスは両方の核酸を持っていることが確認された。
A subset of viral transcripts packaged within human cytomegalovirus particles
Bresnahan W. A. et al. (30 June 2000) Science, Vol. 288, 2373


July 10, 2000
 2カ月ほど前に注文していた「The Best of Scence: Neuroscience」という本がやっと届いた。この本は、米科学雑誌「Science」の1996年から1999年までに掲載された論文の中から、神経科学に関するものだけを再編成したもの。220ページにわたって神経科学分野の研究を網羅するこの本は、いちどきに全てのページに目を通すのはちょっと骨が折れるだろうが、最新のこの分野を俯瞰するには便利な本だと思う。時間のあるときに少しずつ読み進めて、この分野の勉強をしてみようと企んでいる。

 なんとも奇遇だけれど、今日発売された「TIME」の特集は、「アルツハイマーにおける新科学」と題して、奇しくもアルツハイマー病に関する最近の研究成果を紹介している。これも今週末あたりに読んでみよう。


追記・
 昨日のこの欄の話題はなんとも反響が大きかったようで、読者の方から食生活を心配するメールやら、冷やし中華にのせるべき具のリストやら、錦糸卵の作り方やらをメールで寄せていただいた。何ともありがたいことである。錦糸卵はいつの日かきっと必ずなんとしても挑戦して・・・みようかなと思うので、顛末記に乞うご期待。


July 9, 2000
 アパートの近くにあるショッピングストリートの「Newbury Street」に、「ナルトミ」という日本食料品店があることをボストン在住1年と1カ月目にして初めて知り、さっそく出かけた。

 繁華街にある店ということもあって、かなり小さな売り場だし、値段は郊外の日本食料品店よりも2割から3割増といったところで、ちょっと手が出せなかったが、「冷やしラーメン(マルちゃん)」なるものを発見し、即座に購入。80セント。

 実はアメリカに来てからまだ冷やし中華のたぐいを食べたことがないので、これはまさに日本で食べて以来の味となる。おまけに、正直に恥をさらせば、自分で冷やし中華などを作って食べたこともないので、まさに初めての実験にプロトコールとにらめっこして挑戦する心境。

 でき上がりは思いのほかうまく出来て(といっても茹でるだけだからな・・・)、さっそく添付のふりごまだけをかけていただいた。うん、まさしく冷やしラーメンだ。

 めんを茹でることはどうやら僕にも出来ることが分かったので、次回はせめてトマトの一つも買ってきて、すこしは「冷やし中華」の雰囲気を楽しみたいと思ったりした(トマト一つで雰囲気が出るかどうかは、まあ難しいところだが、僕の好きな錦糸卵は・・・無理だろうなあ)。


July 8, 2000
 7月4日に盛大に祝われた「アメリカ独立記念日」だが、この日は「イギリスから独立した日」と思われがち。しかし実際には、後に第3代大統領となるトマス・ジェファーソンやベンジャミン・フランクリン、ジョン・アダムスらによって起草された「独立宣言書」が、13の植民地からの代表者を集めた大陸会議において、9つの植民地の賛成を受けて1776年に採択された日である。またこの日は、1584年にイギリスの探検家ウォルター・ローリーが、北米開拓のために現在のヴァージニア州に上陸した日でもある。

 ちなみに独立戦争は1775年にボストン郊外のレキシントンで始まっており、この独立宣言はまさに戦争さなかに発表されたものである。独立戦争は、1781年にイギリス軍がアメリカ軍に降伏し、1783年にパリ講和条約が結ばれることになってようやく終結。このとき、イギリスが独立を認めることによって独立国アメリカが誕生した。

 以上、何人かの方から質問をいただいたので「今日のImport Data」ということに。

 ところで、この独立宣言を起草したトマス・ジェファーソンは、奇しくも1826年の7月4日に83歳の生涯を閉じている。

【今日の科学情報】
今年100年目を迎えるノーベル賞。物理学、化学、医学・生理学の分野でのアメリカの貢献は目覚ましいが、ここ50年の受賞者を見てみると、アメリカでの研究が対象となったのはなんと70%を占めている。


July 7,2000
 今日は日本では「七夕」だけれども、もちろんアメリカではそうした風習もなく、「たなばた」の「た」の字もない一日だった。七夕は、中国の伝説と日本古来の言い伝えが融合した古い風習だけれど、脈々と現代に通じているこうしたイベントに思いをはせるにつけ、自分が日本人であることをあらためて感じずにはいられない。

 そういえば、最近「ベガルタ仙台」の活躍目覚ましいようで、直に応援できないのが口惜しいほど。ちなみに、ベガルタとは、七夕伝説のベガとアルタイルを合成した造語だそうだ。

【今日の科学情報】
新聞に「植物を肥やす遺伝子と人間のがん関連遺伝子が類似」という記事があったので、さっそく論文を読んでみたところ、トマトを約30%太らせる遺伝子を特定したという4ページに亘る論文の中で、がん遺伝子との関連について述べているのはたったの1カ所。しかも、構造を元にしたコンピューターでの予測に過ぎず、ちょっと期待外れだった。
Frary et al. (July 7, 2000) Science, Vol. 289, 85


July 6, 2000
 MIT化学科研究室対抗のバレーボール大会の第3戦は、主力を欠いた上、5人で戦うことになっていやはや大変な試合になった。

 夕方の気温は、昨日までとはうってかわって凌ぎやすい気温となり、汗かきの僕が激しく動きまわっても、それほど汗だくにはならないほど。

 そんなこともあり、大いにハッスルして第1セットを奇跡的に15-13で取り、このまま勝利するような勢いで第2セットも終盤に。しかし、15-15からの競り合いに負けて惜しくもそのセットを落とすと、最終セットも13-13から連続してミスが出て万事休す。

 それでも、なんだか久しぶりにとても緊張した雰囲気の中での「試合」を経験して、大いに楽しんでしまった。病院のラボに戻ってからの実験がまた、これまでの苦労がうそのようなデータが得られて、ひとりにんまり。

【今日の科学情報】
「SCIENTIFIC AMERICAN」誌7月号の特集は"The Business of the Human Genome"。22ページに亘って、話題のヒトゲノムとそれをとりまくビジネスについて書かれたルポルタージュは、なかなかに興味深い。


July 5, 2000
 活字を印刷するときに、欧米では5ポイントの文字を「pearl(真珠)」と言ったり、5.5ポイントの文字を「agare(メノウ)」(アメリカ)、または「ruby(ルビー)」(イギリス)と言ったりするそうだ。
 一方、日本では活字の大きさを号数で表わすが、5号という大きさの活字(漢字)のふりがな用に使った7号という活字が、ちょうど5.5ポイントのものと同じ大きさだったため・・・すなわち、ふりがなのことを「ルビ」と言うようになったのだそうな。
 なんとも、宝石の名前が漢字のふりがなの「ルビ」の語源だったと知って驚いた、という「今日のImport Data」。

【今日の科学情報】
<培養体細胞からの核移植による、標的遺伝子組換えヒツジの作製>
Production of gene-targeted sheep by nuclear transfer from cultured somatic cells
K. J. Mccreath, et al. (29 June 2000) Nature, Vol. 405, 1066


July 4, 2000
 午後10時から始まった独立記念日の恒例の花火は、チャールズ川にしつらえられた発射台から30分間絶え間なく打ち上げられ、なかなかの迫力に大満足。

 それにしても、川岸を埋め尽くす人、ヒト、ひと。


July 3, 2000
 独立記念日を明日に控え、街はすっかりお祭りモードだが、そんなムードも研究室の中まではどうやら進入してきづらいらしく、いたって普通の月曜日を送った。おまけに今日得られたデータと言えば、今後の実験手法の微調整をしなければならないことを提示する内容。なかなかうまくいきませんねえ。

 そんな折り、東北大学の医学部から学会参加のために来られていた方々の夕食の席に同席させていただいた。総勢4人の方々とは実は今日が初対面なのだが、ラボの同じ階に奇遇にも東北大出身の方がいて、今日の昼ごろ声をかけていただいた次第。これ幸いとばかり、気分転換よろしく喜んでご一緒させていただいた。懐かしい仙台の話題を肴に、なんだか今日初めて会ったとは思えないような雰囲気でとても楽しい時間を過ごすことが出来た。同窓というのもいいもんだ。

 さて、夜の11時に始まる独立記念日恒例の花火を楽しみにするとして、明日も頑張るかな。


July 2, 2000
 「THE PERFECT STORM」という映画を見た。実話を元にした同名の小説の映画化で、ニューヨークタイムズではしばらくこの小説がベストセラーに挙げられていたので、ちょっと期待して出かけた。

 なかなかに迫力のある出来に満足。しかし、本編よりも気になったのは、来年のメモリアルデー(戦没者記念日)に封切り予定という「PEARL HARBOR」という映画の予告。名前から察せられるとおり、第2次世界大戦での日本の真珠湾攻撃を描いたものだが、日本人がどのように描かれているのか興味があると同時に、果たして映画館でアメリカ人の中に混じって楽しむことが出来るかなあと心配にもなった。予告編を見るかぎり、そう心配させるに十分な内容を含んでいそうである。

 自分に都合の悪いことは都合良く忘れてしまうのが人間の常だが、ときには史実を直視し、事実を認知する勇気を持つことも大切なのだと思う。そんな勇気を試すのに、この映画は格好のものかもしれない。


July 1, 2000
 すでに沖縄では開幕を迎えた高校野球の夏の選手権大会の情報を仕入れるため、高校時代からの友人が作る福島県の高校野球関係の情報が満載のウェブサイトをのぞいてみた。

 我が母校の安積(あさか)高校は、今年で創立116年を迎えた福島県で最も古い高校である。がしかし、旧制中学時代を含めてただの一度も甲子園に足を踏み入れたことのない高校でもある。そして、男子校(県立校だけど)ということもあってか、妙に甲子園への思い入れも強く、僕はもちろんのこと、卒業生の多くは毎年この時期になるとなんだかそわそわしてくるのである。まあ、いつも大きく期待を裏切られてばかりなのだが。

 ところが、なんだか今年は様子がおかしい。なんと我が母校、いきなり優勝候補の(準)筆頭に挙げられている。何でも春の県大会を優勝し、勢いに乗っているらしい。こりゃ、すわ一大事。本当に優勝でもして、甲子園に乗り込むということになったら、こんな待ちに待った瞬間を、この目で見ることが出来ない!

 まあ、僕のことは気にせず(誰も気にしないか)、下馬評通りの成績を残して、甲子園のアルプススタンドに、20曲はあろうかという安積の応援歌を是非轟かせて欲しいものだ。



最終更新日:2000年 7月 23日