備忘録

日々の出来事やその日に仕入れた情報をお届けします


Sunday, June 1, 2003

cima

6月といえば梅雨、梅雨といえば雨、雨といえばアジサイの花。我が家の周りの道々にも青く色づいたアジサイが目立つようになってきました。

ところでこのアジサイ。漢字で書くとご存知「紫陽花」ということになるのですが、雨に映える花の代表のようなこのアジサイを表すのに、なぜ「陽」などという文字が使われているのか。何だか不思議な気分です。

そんな疑問を持ったひねくれ者はどうやら僕だけではなかったようで、かの大植物学者、牧野富太郎も「中国の白楽天の詩に出てくる紫陽花という花が、どうして日本のアジサイを表すことになったのか。出典をどう読んでみても『紫花を開く山の木の花』というのだから、アジサイのことではない」と怒り心頭に達する言葉を残しています。

そもそも、日本のアジサイに紫陽花の字を初めて当てたのは、10世紀に書かれた源順(みなもとのしたごう)の「和名類聚鈔」だそうですが、源順は庭に咲くガクアジサイ(現在のホンアジサイのもとの植物)に当てる漢字をひたすら中国の文献を探し、これこそがアジサイに違いないと「紫陽花」を引用したというのが真相のようです。当時、ガクアジサイが中国には存在しなかったなんて、源順は思いもよらなかったでしょうから。

アジサイは真に藍色の花が集まって咲く花ということから、「集(あず)真(さ)藍(あい)」を語源とするというのが通説となっています。もっとも、万葉集に詠まれたアジサイは「味狭藍」「安治佐為」という漢字が使われてはいるのですが。

アジサイの色は土壌の質に応じて変化しているのだとか。すなわち、アルカリ性の土壌で育つと赤くなり、酸性の土壌で育つと青くなる。日本の土壌には火山灰が含まれることが多く、酸性となりやすいこともあって、日本で見かけるアジサイは青い色のものが多いそうです。ふむふむ、そうすると、万葉のころのアジサイの育った土壌は酸性度が強く藍色だったものが、源順の時代の平安になるとややアルカリ性に振れて赤みがかり、紫色に見えたんでしょうか。それで、当てる漢字を間違えたと。

そんなのんきなことを考える、久々の日曜日でした。


Sunday, June 29, 2003

いやはやまったく、時の流れの早いこと。いつの間にやら明日で6月も終わりとは・・・。

こちらは現在、来月に名古屋で行われる『第3回神経組織プロテオグリカン研究会・第49回FCCAセミナー』の準備に大わらわ。ノートパソコンを使った発表は、直前にスライドを作るなどの準備がいらないので、昔に比べればだいぶ楽になったはずなのですが、発表の形態が変わろうと今も昔も中身がイの一番。特に、今回のように狭い専門分野の大御所が多数集まる中で発表する機会は、是非とも成功させたいものです。

ところで、昨年に東京で行われた『グライコフォーラム』での発表は、シンポジウムの先頭を切っての最初の演者だったのですが、なんと今回も初っぱなの講演とのこと。はてさて、イチロー張りのリードオフマン型の性格を見抜かれているのでしょうか。ん、前座なのか?



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